肝臓にもいい?黄色い色素
ウコン色素は、ウコン(Curcuma longa)に含まれる天然黄色色素で、主成分はクルクミン類です。古代インドや中国で薬用や染料として利用され、カレー粉の着色や食品添加物としても広く用いられてきました。鮮やかな黄色を呈し、着色料としての利用のほか、抗炎症や抗酸化などの健康機能性でも注目されています。
1. 概要と化学構造
- 起源:ウコン(Curcuma longa)の根茎
- 主成分:クルクミン
クルクミンの分子は中央に鎖のような部分があり、両端にベンゼン環が付いた形をしています。この構造の中で電子が自由に動ける「共役二重結合」が長く続いているため、光を吸収して鮮やかな黄色に見えます。また、分子の水酸基や酸・アルカリの影響で色が変わりやすく、アルカリでは少し赤みを帯び、酸性では鮮やかな黄色になります。光や空気にさらされると褐色になることもあり、こうした分子の性質がクルクミンの色の特徴を生んでいます。
2. 特徴及び用途
- 発色域:黄色
- 溶解性:水や油脂への溶解性低い
- 熱安定性:強い
- 光安定性:弱い
- 金属との相互作用:ややあり
- 用途
- パスタ、リゾット、スープ
- 魚介加工品(イカフライ、かまぼこ)
- パンやペストリー、和菓子の黒色装飾など
3. 法規制・表示
- 日本:既存添加物
- 表示名称例:ウコン色素、ターメリック色素、着色料(ウコン)、着色料(クルクミン)
- 使用制限:以下の食品には使用できません。こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(加工品は除く)、鮮魚介類(鯨肉を除く)、茶、のり類
- INS番号:INS100 Curcumins、INS100(i) Curcumin、INS100(ii) Turmeric
- EU:E100 Curcumins、E100(i) Curcumin、E100(ii) Turmeric
※着色料用途で精製されているのがCurcumin、精製されていない粗抽出物がTrumeric - 米国:「Color Additives Exempt from Certification(認証免除色素)」として
“Turmeric”およびその主成分である “Curcumin” が収載されています。
→ 21 CFR §73.600(Turmeric), §73.615(Curcumin)
海外では各国の着色料規制により使える食品や添加量が決められている場合が多いため、ここに記載があっても使えないことがあります。
参考文献:
● Kavirayani I. P.,"The Chemistry of Curcumin: From Extraction to Therapeutic Agent", Molecules , 19(12), 20091-20112(2014)
おことわり
本サイトに掲載している内容は、筆者の知識・経験および公開情報をもとに作成したものであり、できる限り正確な情報提供に努めていますが、その内容の正確性・信頼性・最新性を保証するものではありません。
本サイトで提供する情報は、あくまで一般的な情報共有を目的としたものであり、専門的な助言や指導に代わるものではありません。
本サイトの内容を利用・参考にしたことによって生じたいかなる損害・不利益についても、筆者は一切の責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。
また、掲載内容は予告なく変更または削除することがあります。

